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生活保護基準の引下げに反対する会長声明

                                  平成29年12月20日

 

             生活保護基準の引下げに反対する会長声明_                                                  

      

                                 東京司法書士会

                                  会 長 野 中 政 志

                                 

 厚生労働省は、平成29年12月8日の第35回社会保障審議会生活保護基準部会において、平成30年度から生活扶助基準本体や母子加算を大幅に引き下げる方針を示した。

 上記部会の資料によれば、例えば、生活扶助費は、都市部における夫婦子2人世帯では約13.7%(2万5310円)、同じく単身高齢(65歳)世帯では約8.3%(6600円)の減額となり、子どものいる世帯から高齢単独の世帯まで、幅広く大幅な生活保護基準の引下げが図られようとしており、生活保護受給世帯全体への大きな影響があることは必至である。

 今回の生活保護基準の引下げは、第1・十分位(最も所得が低い下位10%層)の消費水準に合わせて、生活保護基準を引き下げることを検討している。

 しかし、我が国では、生活保護の捕捉率(生活保護基準以下の世帯のうち実際に生活保護を受給している世帯の占める割合)が2割程度といわれていることから、生活保護制度を利用できるのに利用していない低所得者層と生活保護基準を比較することとなり、これでは当然に、生活保護基準の方が高いという結果となる。このような手法による比較が続けば、「生活保護の水準」が際限なく下がり続けることにもつながりかねない。

 生活保護基準は、憲法25条が定める「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するための基準である。さらに、生活保護基準は、最低賃金、住民税の非課税基準、社会保険料、及び就学援助などの様々な低所得者施策とも連動しており、その引下げは、生活保護制度を利用していない国民に及ぼす影響も計り知れないものがある。

 よって、当会は、これ以上の生活保護基準の引下げに反対する。

                                                                    以上 

 生活保護基準の引下げに反対する会長声明


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