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民事訴訟手続のIT化に関する会長声明

令和3年3月29日

 

民事訴訟手続のIT化に関する会長声明

 

                                東京司法書士会

                              会 長  野 中 政 志

 

 令和2年2月21日開催の法制審議会第186回会議における法務大臣からの諮問第111号を受けて設置された法制審議会民事訴訟法(IT化関係)部会において、近年の情報通信技術の進展等の社会経済情勢の変化への対応、民事訴訟手続のより一層の適正化及び迅速化並びに国民にとっての利便性の向上を目的としたIT化が検討され、令和3年2月19日には「民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する中間試案」が取りまとめられた。
 総務省の令和2年版情報通信白書によれば、世帯における情報通信端末(IT機器)の保有率はパソコンが69.1%、スマートフォンが83.4%とされ、個人のインターネット利用率は89.8%とされているなど、国民へのIT機器やインターネットのさらなる普及が見られることから、民事訴訟手続をはじめとする各種手続のIT化は時代の要請であり、国民の利便性を考慮すれば望ましいものであると言える。
 その一方で、高齢者など、これらのIT機器を保有していない者やその操作に習熟していな い者、インターネットを利用していない者が少なからず存在する。
 また、制度上は国民が自ら民事訴訟手続を遂行することが可能であるが、手続の厳格性や用語の専門性等の要因により、国民の誰しもが簡単にその手続を遂行できるものではないという実情がある。
 これらのことから、一部の国民にとっては、IT化により民事訴訟手続の利便性がかえって著しく減退し、ひいては司法アクセスに対する国民の格差がより一層拡大してしまうことにもなりかねない。

 

 司法書士は長年にわたり、裁判所提出書類の作成業務を通して、民事訴訟手続を自らの手で進めることを希望する国民の本人訴訟を支援し、また、これに加えて、平成15年より簡易裁判所における民事訴訟手続の代理業務を通して、国民の権利の実現を担ってきた。
 既にIT化が進んでいる登記や供託手続の代理も主要な業務としている司法書士には、手続のIT化における一日の長があることから、裁判所提出書類の作成業務においてITの面でも本人訴訟を支援すること、また、簡易裁判所における民事訴訟手続の代理業務においてもIT化された手続を積極的に活用すること、さらに、民事訴訟手続のIT化に対する改善の要望や提言を行うことが求められていると考える。

 

 東京司法書士会は、「国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与する」という司法書士の使命のもと、政府による民事訴訟手続のIT化の検討にあたり、さらなる国民の司法アクセスの向上、司法制度の安定的な運営の実現及び民事訴訟手続IT化の改善に向けた要望や提言により、広く国民の利益に資するように努力することを、ここに表明する。

 

民事訴訟手続のIT化に関する会長声明.pdf

 

以上


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