お知らせ

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民事訴訟法等の一部を改正する法律等の成立を受けて(会長声明)

令和4年5月26日

民事訴訟法等の一部を改正する法律等の成立を受けて(会長声明)

 

東京司法書士会 会長 野中 政志

 

 令和4年5月18日、民事訴訟手続等のIT化に関する「民事訴訟法等の一部を改正する法律」が成立した。


 本改正法は、民事訴訟手続等の迅速化、効率化を図り、民事訴訟等を国民がより利用しやすいものとすることを目的としており、オンラインによる訴えの提起、訴訟記録の電子化、ウェブ会議を活用した口頭弁論期日等の訴訟手続のIT化のみならず、当事者の申出により一定の期間内に審理を終えて判決をする手続の創設や、犯罪被害者の氏名等の情報を相手方に秘匿したまま訴訟手続等を進めることができる制度の創設など、改正点は多岐にわたっている。


 そしてオンラインによる訴えの提起など訴訟手続のIT化を迅速かつ広く普及させるために、司法書士・弁護士等の訴訟代理人は訴えの提起等の訴訟手続についてオンラインの利用が義務化されることとなったが、国民の裁判を受ける権利を保障するため司法書士・弁護士等の訴訟代理人に委任しない当事者はオンラインの利用は任意の選択とされた。しかし、オンラインによる民事訴訟手続の活用により裁判所への移動の時間、交通費や書面の郵送費等といった当事者の負担するコストの削減が図れることから、訴訟手続のオンライン化がより一層国民の利益に資するものと考えられる。


 ところで、我が国では民事訴訟手続において司法書士・弁護士等に委任せず当事者自らが訴訟手続を追行する本人訴訟が多数存在している。また、家庭におけるパソコンやスマートフォン等の普及率が増加したとはいえ、高齢者や経済的事情によりIT機器を保有していない者や、保有していてもその操作に習熟していない者も少なからず存在する。


 司法書士はこれまで民事訴訟手続を自らの手で進めたいとする国民の本人訴訟支援を長く業務として行ってきた。また、登記申請等の代理業務においてはその申請をオンラインで行うなど、IT機器を使用したオンライン手続については一日の長がある。


 当会は、本改正法の成立にあたり、司法書士が訴訟代理人としてオンラインを利用した民事訴訟手続に関与しその社会的責務を果たせるよう研修や情報提供等を通じて会員の能力の維持向上を図るとともに、法案審議に際し衆議院と参議院の法務委員会の附帯決議において示された、IT化後の本人訴訟支援にかかる司法書士に対する強い期待を受け止め、本人訴訟においてもIT化された民事訴訟手続等を国民が広く利用できるようその支援に積極的に取り組み、国民の裁判を受ける権利が保障されるよう、より一層の努力をする所存である。  以上

 

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