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パブリックコメント 「不動産登記規則等の一部を改正する省令」に関する意見

パブリックコメント

「不動産登記規則等の一部を改正する省令」に関する意見

 

令和6年3月21日

東京司法書士会

 

当会は、標記省令案に関して意見を述べる。

 

不動産登記規則の一部改正案について

 

1.改正案第202条第3項関係

【意見の趣旨】

 不動産登記簿の附属書類をウェブ会議システムを利用する方法により閲覧可能とすることについて賛成する。

 ただし、請求方法については窓口又は郵送による方法に限定せず、オンラインによる請求方法を認め、オンラインによる請求の場合の手数料の納付は電子納付を認めるべきである。

 

【意見の理由】

 第17回規制改革推進会議(令和5年10月16日)において公証人による定款認証制度の見直しなどが議論され、行政手続に係るローカルルールの見直し、スタートアップの成長環境の整備などに関する規制改革の取組も急ぎ検討する等の岸田内閣総理大臣による発言があったこと、公証役場における定款認証については令和6年3月1日から原則として出頭型からウェブ会議での実施に移行されたこと等、行政手続の迅速化が進められており、ウェブ会議システムを利用する方法により登記簿の附属書類の閲覧が可能となることについては歓迎する。

 しかし、閲覧の請求手続を窓口又は郵送による方法に限定することは行政手続の迅速化の観点から適切ではなく、既に構築されている登記申請、供託申請、定款認証手続等の方法を活用し、オンラインによる請求手続を積極的に推進すべきである。

 

2.簡単な操作でアクセスできるウェブ会議システムの採用

【意見の趣旨】

 登記簿の附属書類の閲覧を希望する者が機器やサービスに不慣れな場合であっても、簡単な操作でアクセスできるようなウェブ会議システムを採用すべきである。具体的には、アプリケーションの事前インストールが不要なもので、既に普及しているものとすべきである。

 

【意見の理由】

 「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」(令和2年12月25日)によると、「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」を目指すことが、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」を進めていくことに繋がるとしている。

 登記簿の附属書類閲覧のデジタル化により、利便性が各段に向上する一方で、現状、ウェブ会議のアクセシビリティが確保できているとは言い難いことから、機器やサービスに不慣れな者であっても簡単な操作で利用できるよう、アプリケーションの事前インストールが不要なもので、既に普及しているシステムを採用すべきである。

 

3.閲覧する正当な理由を証する書面について

【意見の趣旨】

 登記簿の附属書類の閲覧請求の際に同封する正当な理由を証する情報について、原本に限らず、その写しを同封する方法も認めるべきである。

 

【意見の理由】

 登記簿の附属書類の閲覧に関する商業・法人登記事務の取扱いにおいて、商業・法人登記に係る登記簿の附属書類の閲覧の申請書に添付する利害関係を証する書面は、原本に限定されず、その写しであっても差し支えないとされている(平成28年6月23日法務省民商第98号通達)。不動産登記に係る登記簿の附属書類の閲覧請求の正当な理由の判断においても、商業・法人登記事務の取扱いにおける利害関係の判断と同様、情報の原本性は必ずしも必須ではないと考える。郵送により閲覧請求を行う場合に、正当な理由を証する情報を同封したうえで、閲覧後に原本を返送する方法は迂遠であり、正当な理由を証する情報は、原本を限定することなく、その写しを同封すれば足りると考える。

 また、オンラインによる閲覧請求を認めるのと同時に、正当な理由を証する情報をオンラインにより提供する方法も認めるべきである。正当な理由を証する情報が書面ではなく、電子署名の付されたデータで作成されている場合もあり、オンラインによる提供を可能とすることが、閲覧請求の利便性を高めるとともに、行政手続の迅速化に資することになるのは明らかである。

 

以上


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