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パブリックコメント「「不動産登記規則等の一部を改正する省令案」に対する意見」

パブリックコメント

「不動産登記規則等の一部を改正する省令案」に対する意見

 

令和7年12月19日

東京司法書士会

 

当会は、標記改正案に関して、以下のとおり意見を述べる。

 

1. 本改正案の方向性について

【意見の趣旨】

 本改正案の方向性について賛成する。

 

【意見の理由】

 所有不動産記録証明制度は、「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント(令和7年6月版・法務省民事局)」において、「相続登記の申請の義務化に伴い、相続人において被相続人名義の不動産を把握しやすくすることで、相続登記の申請に当たっての当事者の手続的負担を軽減するとともに登記漏れを防止する観点から、登記官において、特定の被相続人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧的にリスト化し証明する制度を新設する」と説明されている。 

 本改正案の施行によって、一定程度「当事者の手続的負担の軽減」と「登記漏れの防止」が図られ、相続登記の申請がより促進されることにつながると考えられる。

 よって、本改正案の方向性について賛成する。なお、更なる「当事者の手続的負担の軽減」と「登記漏れの防止」を図るため、以下のとおり意見を述べる。

 

2. 戸籍電子証明書提供用識別符号又は除籍電子証明書提供用識別符号の提供による相続人申出等添付情報の省略(改正

 後第158条の20関係)及び戸籍電子証明書提供用識別符号又は除籍電子証明書提供用識別符号の提供による所有

 不動産記録証明書交付請求添付情報の省略(改正後第195条第8項関係)

【意見の趣旨】

 本改正案における相続人申出等及び所有不動産記録証明書交付請求の手続において、申出人又は請求人が、登記名義人等の相続に関して、相続人であることを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報の提供を要する場合に、この提供に代えて戸籍電子証明書提供用識別符号又は除籍電子証明書提供用識別符号を提供できるようにすることについて賛成する。

 また、今後、相続登記の申請や法定相続情報証明制度の申出等の手続においても、戸籍電子証明書提供用識別符号及び除籍電子証明書提供用識別符号を利用できるようにすべきである。

 

【意見の理由】

 令和7(2025)年3月24日以降、行政手続において、紙の戸籍証明書に代えて戸籍電子証明書提供用識別符号(以下「戸籍識別符号」という。)を提出することが可能となった。現在、その利用は、パスポートの申請手続やマイナ免許証の本籍情報変更に限られているが(「行政手続における戸籍電子証明書の利用について(令和7年3月法務省民事局)」)、本改正によって、手続の利用対象が広がることとなる。

 戸籍識別符号の取得の手数料は、マイナポータルから請求した場合には無料、市区町村の窓口で取得する場合には有料であるが、対象となる戸籍証明書と同時に取得する場合には無料となる。また、戸籍識別符号の有効期限は発行から3か月間となっているが、期間内であれば同一の識別符号を複数かつ同時に各種行政手続で利用することができる。

 このように、相続人申出等及び所有不動産記録証明書交付請求の手続において戸籍識別符号及び除籍電子証明書提供用識別符号(以下併せて「識別符号」という。)を利用できるようにすることは、申出人又は請求人の手続的、経済的な負担の軽減に資することが期待できる。

 よって、相続人申出等及び所有不動産記録証明書交付請求の手続において、識別符号を利用できることとすることに賛成する。

 他方、本改正案では、識別符号の利用対象が相続人申出等及び所有不動産記録証明書交付請求に限定されている。今後、相続登記の申請や法定相続情報証明制度の申出等の手続においても、紙の戸籍証明書に代えて、識別符号を利用できることとなれば、利用者の手続的・経済的負担の軽減のみならず、オンライン申請の更なる普及により、登記事務処理の適正化と効率化が図られることが期待される。

 よって、相続登記の申請や法定相続証明制度の申出等の手続においても、識別符号を利用できるようにすべきである。

 

3. 所有不動産記録証明書の交付の請求の請求情報における所有権登記名義人の氏名の文字に、誤字及び俗字が含まれる

  場合等について(本改正後第195条第1項第5号関係)

【意見の趣旨】

 所有不動産記録証明書の交付請求をする場合、(1)所有権登記名義人の氏名の文字について、正字、誤字及び俗字のいずれであっても、正確に検索できるようにする仕組みの整備、(2)同名異人の情報が混在しないように、検索・証明の精度を確保するための技術的・制度的対策、(3)正確に検索するための留意事項の明確化及び国民への周知を求める。

 

【意見の理由】 

 不動産登記記録に記録されている登記名義人の氏名又は名称の文字には、正字のみならず誤字又は俗字が含まれている場合や、これらが混在していることが少なくない。このような文字の違いにより、所有不動産記録証明書の検索から漏れてしまった場合には、登記漏れの防止という所有不動産記録証明制度の趣旨を達成することが困難となる。

 他方、文字の表記の差異や検索仕様によっては、同名異人が所有する不動産が所有不動産記録証明書に記載されてしまうとの懸念もある。そのような事態が生じた場合、証明内容の正確性に疑義が生じ、結果として所有不動産記録証明制度そのものの信頼性が損なわれるおそれがある。

 よって、(1)所有権登記名義人の氏名の文字について、正字、誤字及び俗字のいずれであっても、正確に検索できるようにする仕組みの整備、(2)同名異人の情報が混在しないように、検索・証明の精度を確保するための技術的・制度的対策、(3)正確に検索するための留意事項の明確化及び国民への周知を求める。

 

4. 所有不動産記録証明書の交付の請求の請求情報における登記記録を検索するために必要な所有権登記名義人の氏名又

 は名称及び住所について(改正後の第195条第1項第5号関係)

【意見の趣旨】

 所有不動産記録証明制度を利用しようとする者に対し、請求に係る不動産の登記記録を検索するために必要な所有権の登記名義人の氏名又は名称及び住所について、現在の氏名又は名称及び住所に限らず、過去のものも含めて網羅的に検索できる旨を十分に周知することを求める。

 また、所有不動産記録証明書の交付請求情報の様式については、複数の検索条件を柔軟に指定でき、一回の請求で完結可能となるよう整備することを要望する。

 

【意見の理由】

 所有不動産記録証明書の交付を請求するに当たっては、「請求に係る不動産の登記記録を検索するために必要な所有権の登記名義人の氏名又は名称及び住所」を内容とする情報の提供が求められている(改正後第195条第1項第5号)。 

 登記漏れの防止を実効あるものとするためには、現在の氏名又は名称及び住所に限らず、過去のものも含めて網羅的に検索することが必要である。なぜなら、登記名義人が婚姻や転居等により氏名や住所を変更していても、その変更が登記記録に反映されていなければ、当該不動産が検索結果から漏れるおそれがあるからである。

 よって、法務局においては、請求人に対し、過去の氏名又は名称及び住所も含めて網羅的に検索ができる旨を十分に周知すべきである。

 次に、所有不動産記録証明書の交付請求情報の様式は、本改正案からは明らかではないが、一回の請求で、過去の氏名又は名称及び住所など複数の検索条件を網羅的に検索できることが、当事者の手続的負担の軽減という所有不動産記録証明制度の趣旨の達成と所有不動産記録証明制度の利便性を高めることにつながる。

 よって、所有不動産記録証明書の交付請求情報の様式については、複数の検索条件を柔軟に指定でき、一回の請求で完結可能となるよう整備することを要望する。

 

5. 所有不動産記録証明書の交付の請求情報等について(改正後第195条第4項第5号関係)

【意見の趣旨】

 改正後第195条第4項第5号括弧書に規定する「公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報」の具体的な例示を通達等で示すことを求める。

 

【意見の理由】

 改正後第195条第4項第5号によれば、所有不動産記録証明書を請求する場合には、請求人(又はその被承継人)の氏名又は名称及び住所であること(変更があった場合には変更前の氏名又は名称及び住所)を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報を提供しなければならないとされている。そして、本規定文末の括弧書には、公務員が職務上作成した情報がない場合には、これに代わるべき情報を提供しなければならないと規定されている。

 過去の住所に関する情報を遡る場合、住民票の除票や戸籍の附票などが保管期間経過等によって廃棄され、請求人の住所移転の経緯全てを証明することができないことも想定されることから、本規定文末の括弧書はそのような場合に対応する趣旨と解される。

 住民票等の公的情報で住所移転の経緯全てを証明できない場合において、公的情報に記録されていない住所では検索できないこととしたときには、登記漏れ防止を図るとの所有不動産記録証明制度の趣旨を十分に達成することが難しくなることが想定される。

 そこで、「これに代わるべき情報」については、請求人の過去の氏名又は名称及び住所であったことが推認できる情報が提供された場合には、これを認めるなど柔軟な対応を行うべきである。もっとも、請求人と同名異人を登記名義人とする不動産までもが所有不動産記録証明書に記載されることはあってはならない。したがって、どのような書類が「これに代わるべき情報」に該当し得るのか、一定の類型化と具体例が必要となる。

 よって、通達等により、「これに代わるべき情報」の具体的な例示を示すことを求める。

 

6. 所有不動産記録証明書の交付の請求情報等について(改正後第195条第4項関係)

【意見の趣旨】

 所有不動産記録証明書について、遺言執行者、相続財産清算人などの各種財産管理人も交付請求できることを明文にて明確にすることを求める。

 

【意見の理由】

 遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して相続人に交付しなければならない(民法第1011条第1項)とされていることから、遺言執行者は、相続財産を調査する義務を負っている。そして、遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有している(民法第1012条第1項)。この点、不動産登記においても、特定財産承継遺言(令和元年7月1日以後にされたもの)がされた場合の遺言執行者は、単独で相続による所有権移転登記を申請することが可能となっている(民法第1014条第2項、令和元年6月27日法務省民二第68号)。

 したがって、遺言執行者も所有不動産記録証明書の交付を請求できるようにすることが、所有不動産記録証明制度新設の趣旨に適うものである。

 しかし、遺言執行者が、相続財産の調査のために所有不動産記録証明書の交付を請求できるか否かが、改正案においては必ずしも明確になっていない。

 よって、遺言執行者も所有不動産記録証明書の交付の請求ができることを明文にて明確にすることを求める。

 次に、相続人のあることが明らかでないとき、相続財産は法人とされ、家庭裁判所により相続財産清算人が選任される(民法第952条1項)。この場合、相続財産清算人は、相続財産を調査する必要があり、被相続人名義の不動産に対しては、相続人不存在を原因として所有権登記名義人氏名変更登記を申請する必要がある(昭和10年1月14日民事甲第39号民事局長通牒)。相続登記申請の場面ではないが、相続財産清算人による所有権登記名義人氏名変更登記の場面においても、相続による所有権移転登記と同様、手続的負担の軽減や登記漏れの防止が図られる。

 さらに、同じく相続登記申請の場面ではないが、不在者財産管理人などにおいても、不在者名義の不動産を調査する場合に所有不動産記録証明制度を利用できることが、所有不動産記録証明制度新設の趣旨に適い、ひいては所有者不明土地問題の解消にも寄与することになると考える。

 よって、相続財産清算人などの各種財産管理人も所有不動産記録証明書の交付の請求ができることを明文にて明確にすることを求める。


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